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革の基礎知識 Basic knowledge of Leather

革の基礎知識

科学的に革を試験してみよう

「革は色落ちする」「雨の日には使わないほうがいい」など、革特有の性格はよく理解して付き合っていきたいもの。ここではそんな革の性質を、実験を通して見てみよう。

革は熱に強い?

革は耐熱温度以上の熱が入ると、硬化や変形する性質を持っていて、一度変形すると元には戻らない。この変形をしない耐熱温度は乾燥状態で120℃程度といわれる。しかしこれは革が含む水分によって大きく変わり、水にぬれるとこの温度が下がる。なめし方法にもよるが60〜100℃程度で急激に縮んでしまう。

【アイロン試験】
試験片に左から120℃、160℃、240℃のコテを当ててこすったもの。温度が高くなるとコテがあたった部分が波打つようになった。この部分は周囲の部分に比べて革が伸びて硬化してしまったため、波打つように変形した。こうなると元には戻らない
革は熱に強い?

革は伸びやすい?

革の伸びは、動物の種類・年齢・性別・部位や取る方向によって大きく違う。一般的に、腹は背中より伸びやすく、また、同じ背中なら背筋(背線)方向よりもそれに直交する向きの方がよく伸びる。そこで革製品はその製品に最適な位置や方向を考慮して型入れをしている。とはいえ、無理な状態で保管すると伸びることがあるので注意が必要だ。

【引張強さ及び伸び】
革片を人工的に引張る実験を行ってみた。試験片は豚革から部位と方向を変えて採取し、比較してみたが、いずれも大きな力で引張ると最終的に切れてしまった。部位では背よりも柔らかい腹、同じ背なら背筋方向よりも垂直方向の試験片の方が長く伸びてから切れるという結果を見せた

革は色落ちする?

革を着色する方法には、水浴で染色する方法、スプレーやハケで塗装する方法、プリントする方法などがある。色落ちの度合いは染料の種類や仕上げによって異なるが、傾向としては、表面処理がない素上げ革や起毛革、革らしさを活かした仕上げの革が摩擦などによって色落ちしやすい。また、水にぬれると色落ちはより激しくなることが多いので注意したい。

革は色落ちする?
【染色摩擦堅ろう度】
摩擦子に木綿の白布をかぶせ、革の試験片表面を摩擦する。白布は乾いた状態、蒸留水に浸したもの、酸性人工汗液、アルカリ性人工汗液に浸したものを用意。顔料で仕上げた革はあまり色落ちしなかったが、素上げ革は汗で色落ちした

D:乾燥 W:湿潤 A:酸性汗 B:アルカリ性汗

革は太陽光でダメージを受ける?

どんな物質も太陽光で劣化するが、革は特に色に変化が現れる。それはなめし方や着色方法、染料やその濃度によっても違ってくる。一般的にクロムなめしに比べてタンニンなめしの方が変化しやすく、褐色に変わる傾向にある。また着色料では、顔料よりも染料のほうが、色が変わりやすい。なかでも淡色の革はその退色の度合いが大きく目立ちやすい。

革は色落ちする?
【耐光試験】
太陽光にさらした状態を促進して試験できる耐光性試験機に革片を入れてテスト。一定の条件で光りを当てた結果が右の写真。白系のものは黄色っぽく変色した。一方、濃色の黒はあまり変化が見られなかった

革はやっぱり水に弱い?

革は水にぬれると水がしみこんでしまい、乾くとそこがシミになったり、水ぶくれのように表面が凸凹になってしまったりすることがある。そのため表面にラッカーやウレタンで仕上げることで、水分をしみこみにくくしているものもある。こうした保護膜がない素上げ革や起毛革などはなるべくぬらさないようにし、水にぬれたらすぐに叩くように水を拭き取ることを心がけたい。

革は色落ちする?
【水滴試験】
試験片に水滴を垂らして30分後と16時間後に拭き取ったときの表面の状態を観察。茶色い革片は16時間後のものでも跡がみられない。一方黒い革片はもともと色が濃いため色の変化はほとんど見られないが、16時間後には水ぶくれのようなウォータースポットがはっきりと現れた。この違いは、革の表面加工などが関係している
水滴実験

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