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革の世界を知ろう 日本の革文化 世界の革産地

日本の革文化・世界の革産地

ランドセル読本

ランドセルはニッポンが誇る職人技の結晶!

鞄としての機能を追及していくと、そのカタチはここに行き着くのかもしれない。それがランドセルだ。けして大げさではなく、この日本特有のフォルムを持ったプロダクトは、非の打ち所が、ない。その理由をいくつか挙げてみよう。

まずはそのデザイン、構造だ。もともとは軍隊の背嚢がベースとなったといわれているランドセル。兵士は衣食住のほかに武器など多くを持ちながら行進する必要がある。そのため両手が自由になるのが望ましい。そこで採用されているのがリュックサック、バックパックとも呼ばれる2本のベルトで背負うバッグだ。このタイプはアウトドアギアとして好まれ、とにかく機能的。アクティブに動く子どもたちにとっても、遊びの邪魔にもならないからうれしい(背負いながら遊ぶことが良いか悪いかは別として……)。さらには箱型であるため、収納力と収納物に対する保護力に優れている。 走って、転んだとしても中身がつぶれづらい。また、そのデザインを特徴づけているのが独特の大型の〝かぶせ”だろう。中身をしっかりと守ることや子どもの開閉のしやすさ、さらに背当て部分のクッション性と同様に、外的な衝撃にも強い。また、錠前が鞄の底部に位置しているのも特徴的。誰かとぶつかった時など、まず接触しない部分であるがゆえに、安全性にも一役かっているはずだ。

ランドセルの主要部となる「前段」と「かぶせ」。このふたつの型を6年間崩れずに保たせるように組み立てていくことがランドセル職人の命題だ。

ランドセルの主要部となる「前段」と「かぶせ」。このふたつの型を6年間崩れずに保たせるように組み立てていくことがランドセル職人の命題だ。さらに機能的な部分のパーツを組み込み、ようやくひとつのランドセルが完成する

そして丈夫さ。ランドセルは6年間、ほぼ毎日使うのである(夏休みなどを除けば約200日)。大人だったら日によって鞄を変えたりもするが、子どもにとってはたったひとつの鞄。晴れの日も雨の日も雪の日も共に歩くパートナー。さらには、自由奔放、天真爛漫、縦横無尽、融通無碍……とにかく元気な子どもたち。そんな彼らの毎日の中で、ランドセルはどのように扱われているかというと……自分の子どもの頃を思い出してみよう。モノを大事にするココロは大切です。でも、まあ、致し方ない。そんな衝撃を受けながらも6年間、壊れないつくりになっているのがニッポンのランドセルだ。そして日本にはランドセルの専門職人が数多くいる。子どもの安心・安全を日夜考え、日々工房で腕を振るう。そんなランドセルを選ぶのは、親である大人たち。だから知っておきたい、ニッポンのランドセルが生まれる現場を。大切なわが子のため、孫のために、とびきりのランドセルを、つくり手の想いが込められた物語とともに贈りたい。

ランドセルの素材とは?
ランドセルの素材とは?
  • 牛革

    本革ランドセルで一番多い素材。堅牢性に優れ、しなやかさもあり、また、さまざまな加工革もあるため機能性にも優れている。劣化も少なく、6年間で型崩れもしづらい。また、高級ラインにはヌメ革もラインナップしていることもある。
  • 馬革

    各メーカーにおいて、高級ラインとして採用されている馬革のコードバン。かぶせの光沢感が特に美しく仕上がる。また、丈夫さにおいても型崩れがしづらく、緻密な繊維組織を持っているので、美しさも長持ちする。
  • 人工皮革

    クラリーノをはじめとした人工皮革は、本革に比べ軽さが魅力。価格帯もおさえられ、量販店だけでなく、多くの工房でもラインナップに入っている。以前よりもその品質はあがっており、耐久性にも優れたものが多い。
革の世界を知ろう『日本の革文化・世界の革産地』目次
  • Vol.7 ランドセル読本
    6年という長い年月を共にする大切なパートナー、ランドセル。実はここにもニッポンが誇る職人の技とものづくりへの想いが詰まっている。知れば知るほど、どれを選んでも同じという訳ではないことに気がつくはずだ。
  • Vol.6 革の国、紀州をゆく。
    日本の革の力を体感したい。その思いだけでこの地へやってきた。豊かな自然に囲まれた国、和歌山。かつては徳川御三家の一つであり、今は革の三大産地の一つである。その歴史と風土をかみしめながら、和歌山を、革を、旅する。
  • Vol.5 かばんの街「豊岡の旅」
    豊岡は歴史浪漫あふれる街。城崎温泉は1300年、出石そばは300年の歴史を誇る。いま、南北の観光地は、「豊岡鞄」を繋がりに賑わいを見せる。
  • Vol.4 革の街を歩く - 姫路
    姫路周辺地域は革なめしの工場が日本の中でも突出して集中している地域であり、全国の6割近いタンナーが姫路にある。新しい素材、色、加工と革の技術は日進月歩で向上している。その最前線がこの姫路なのだ。
  • Vol.3 革の街を歩く - 浅草
    年間600万人といわれる外国人旅行者のうち、約半数は浅草を訪れるという。浅草はまた外国人だけでなく、日本人にとっても古き良き日本に出会える特別な地であり、東京のキング・オブ下町といっていい存在だ。
  • Vol.2 世界の革産地を巡る旅
    人間の暮らしと密着している牛、馬、羊、豚が代表的だが、他にも革は無数の種類がある。ここでは世界中にある革とその国に伝わる技術の特徴を紹介しよう。
  • Vol.1 1000年以上の歴史がある日本の革文化
    日本の革の歴史は、飛鳥時代以前に大陸から渡来した人々によって、革の加工技術の多くが伝えられたとされている。ここでは、歴史とその地域の特性を紹介していく。

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