Interview

レザーの社会科見学 エキスパートに聞いてみた

株式会社リーガルコーポレーション リーガルアーカイブス

株式会社リーガルコーポレーション リーガルアーカイブス

日本製革製品に興味をもってくださる、すべてのユーザーにお届けしたい「レザーの社会科見学 エキスパートに聞いてみた」。第二回はシューズブランドの代名詞的存在、リーガルコーポレーションの資料館・リーガルアーカイブス館長の藤井財八郎さんにインタビュー。

約25,000冊もの靴関連書籍(18世紀後半に英国で出版された文献も)、足についての医学書も日本有数の蔵書数を誇り、洋の東西を問わず収集した膨大な量の靴、時代ごとのノベルティなどを保管するリーガルアーカイブス。
日本の靴の歴史を受け継ぎ、語り継ぐエキスパートが、気になる疑問のあれこれにお答えくださいました。

Q1|靴選びのポイントは?

できれば、ちょっと価格が高いかな?と思う靴を選ぶことです。
ご自身が想定している予算の1.2~1.5倍くらいで探すことをおすすめします。良い靴は嘘をつきません。

ほとんどの靴の品質と価格はリンクしています。
高価な靴にはそれ相応の理由があり、いい素材を用い、研鑽を重ねた熟練のつくり手たちによって丁寧に仕上げられているのです。

さまざまな修理やお手入れをしながら、永く履くことができ、結果的にはコストパフォーマンスが高い良い買い物になりますよ。

靴選びのポイントは?
おしゃれは足もとから、とはどういうことですか?

Q2|おしゃれは足もとから、とはどういうことですか?

日本では「足もとを見る」という慣用句がありますが、江戸時代から続く履きもの文化と共に、汚れやすい足もとの手入れを見て信頼性を判断する習慣が現在も息づいています。

私は買ったばかりの靴は、実は完成まで8割くらいだと考えています。
残りの2割はお客さまが自分自身で、自分だけの履き良い靴に完成させるのだと考えています。

良い靴は年月とそのストーリーによって変化するのが魅力なのです。
手入れが行き届いた良い靴に宿る、輝きと独特の佇まいは、履く人の品格、人柄を投影し、その人の服装全体に影響するのではないでしょうか。

Q3|ビジネスシューズ選びのポイントは?

私としてはレースアップシューズをおすすめします。プレーントゥ、ストレートチップ、ウィングチップなどから、まずは3足揃えてみてはいかがでしょうか?

毎日同じ靴を履き続けると悪臭やカビ、さらには足の健康障害の原因になる場合があります。我々同様に、靴にも休養が必要なのです。

ローテーションを取り入れ、毎日のコーディネートに役立ててください。

ビジネスシューズ選びのポイントは?

また、大事なプレゼンや冠婚葬祭といった、フォーマルな場面に欠かせませんし、少し気取ったオフを楽しむ時にもお役に立つはずです。

歩く時間、路面の状態、天候、使用頻度などの要素をもとに、信頼できる販売員、シューフィッターらとともにじっくり選んでいただきたいですね。

Q4|歩くことが多い人に最適な一足は?

歩くことが多い人に最適な一足は?

ウォーキングシューズ、コンフォートシューズ、各種スニーカーのように、「歩きやすさ=軽さ、柔らかさ」と感じてしまいがちですが、一概にそうとは言えません。
良い革靴も長時間の歩行に適しています。

例えば、登山靴は重量感がありますが、実はある程度の重さがあるほうが長時間の歩行には疲れにくい場合があります。

歩行時、静止体重よりも約20%増の負荷重量がかかるといわれています。
足は人間の体重を支え、大切な生命をのせている身体部分です。靴はその足を包みサポートするアイテムですので、使用シーン、目的に合わせた良い靴選びが重要です。

Q5|リーガルの靴が人命を救った話を聞いたのですが?

はい。本当です。
2001年9月11日午前8時46分、アメリカ・ニューヨークで発生した旅客機でのテロによる爆発事故で、当時、ワールドトレードセンタービル ツインタワー北棟90Fにいた銀行員のIさんは、転勤前に岡山で購入した弊社のビジネス靴を偶然履いていました。

「(90Fから脱出するため)非常階段を同僚と降りながら、とても命が助かると思えなかった。

消火用スプリンクラーの水が滝のように階段ホールを流れ落ちるなか、足に触れる瓦礫や大量の割れたガラスを踏む音が今でも耳に残っている。

スニーカー通勤が流行していた朝のニューヨーカー達の足を、水とともに流れ落ちるガラスや金属片が容赦なく襲い、スニーカーが脱げて足を血だらけにして座り込んでいる人々を多く見た。

この靴はとうとう一度も脱げることもなく、靴自体は傷だらけでしたが、しっかり私の足を無傷で守ってくれた。
今考えればこの靴が命を助けてくれました」とIさんが語ってくださいました。

このエピソードと靴は、当社にとって靴づくりの基本を伝え続けるシンボルとして、現在Iさんの了解のもと、弊社ショールームで展示させていただいています。

リーガルの靴が人命を救った話を聞いたのですが?

Q6|創業当時から現在まで、靴づくりとその環境に変化はありますか?

創業当時から現在まで、靴づくりとその環境に変化はありますか?

1870年(明治3年)3月15日、日本最初の靴製造会社である伊勢勝造靴場が誕生してから、先人達は多くの困難・苦労を重ねつつ、日本の靴製造は徐々に技術を磨いていきます。

この中から当時アメリカに渡り、オーダーシューズの職人として大成功する者も現れました。

1902年(明治35年)1月21日、桜組(前伊勢勝)他3社を併せ、日本最大の靴メーカーである日本製靴(株)(現(株)リーガルコーポレーション)が誕生します。

その後1945年(昭和20年)まで、日本陸軍制靴(一時海軍靴も製造)を一手に製造し、厳密なスペック(後のJIS規格に)を求められる軍靴は、堅牢で優れた靴づくりの技術を当社に残しました。

戦後、経済成長とともにヤングファッション化の流れがあり、メンズファッションに革命を起こした人気ブランド ヴァン・ヂャケットとのジョイントで、1964年(昭和39年東京オリンピックイヤー)にVAN REGALを全国販売、アイビー靴として大ヒットします。
シューズ分野のコラボレーションとしては日本初の試みです。

1970年代、既にアメリカで若者文化の代名詞となっていたスニーカーを、革靴メーカーが他社に先駆けて販売。新聞記事になるほどの大ヒットとなります。
1980年代には、フィットネスブームから派生した健康志向に合わせ、軽量でクッション性に優れたウォーキングシューズの製造販売を1986年からスタートするなど、時代とともに新機軸を打ち出しています。

リーマンショック、東日本大震災を経て、ファッションにおいてエシカル、ソーシャル的な側面が重視されるようになり、弊社の国内生産もご注目いただいています。

中国、アジア諸国の靴製造とは一線を画する、日本人の繊細な感性を生かした靴づくりの歴史、伝統を守ることは、弊社の使命。
創業時から継承している精神と情熱は、決してお金では買うことのできない、かけがえのないものと信じています。

現在も安易なコストカットをせず、製造プロセス、社内品質基準、検査には一切妥協をしていません。

近年、直営店舗を増やし、人材教育にも注力しています。
当社店舗スタッフを対象とした研修制度《 リーガルカレッジ 》を実施し、当社独自の資格制度《 フィッティングモデレーター 》を取得したシューフィッターがリーガルの専門店《 リーガルシューズ 》に在勤しています。

創業当時から現在まで、靴づくりとその環境に変化はありますか?

またお客さま、おひとりおひとりの好みに合わせてカスタマイズできるパターンオーダーも2000年から開始しました。靴との出会い、選ぶ楽しさをより豊かな体験としてご提供しています。

履く人の身体と健康を守り、その人らしさを表現する・・・靴に求められるニーズはますます増えていますが、今後もしっかりとお応えしていきたいですね。

株式会社リーガルコーポレーション リーガルアーカイブス

株式会社リーガルコーポレーション|千葉県浦安市日の出2丁目1番8号
http://www.regal.co.jp/shoes/

今回の取材を通して、靴の大切さを改めて教えていただきました。創業者が数々の困難を克服し、日本の靴づくりを構築していきます。リーガルコーポレーションが今日でも製靴業界を牽引していることは日本人として誇らしく感じます。
リーガルブランドのビジネスシューズの約90%を国内自社工場で生産するなど、企業姿勢が素晴らしい。さらに品質の更なる向上を目指し、販売員の教育、販売カリキュラム支援等を目的とした新潟加茂市のフルライン工場を、見学もできるように新しく広く改築したとのことです。
ドレスコードのカジュアル化が進行するなか、着こなしにおいて靴の存在感が高まっています。身体を支え、守る役割、実際にあった体験談をお聞きすることでさらに思いが強くなりました。
「やっぱり、日本製のいい革靴を履きたい!」

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