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デザインコンテスト&コンペティションの受賞作で振り返る
バッグ・クロニクル
<台東ザッカデザイン画コンペティション>

デザインコンテスト&コンペティションの受賞作で振り返るバッグ・クロニクル<台東ザッカデザイン画コンペティション>

現在第一線で活躍するクリエイターを輩出し続けるデザインコンテスト、デザインコンペティション。時代を先取り、未来を切り拓く作品を選出し、新たなムーブメントを発信してきました。皮革業界で代表的な“登竜門”から、平成から令和にかけての時代、鞄・バッグの潮流を振り返ります。

今回は、「台東ザッカデザイン画コンペティション」をピックアップ。30年以上続く(2021年現在)コンペティションのアーカイブから近年の傾向を、4つのキーワードでご紹介します。

2010(テン)年代の受賞作品のキーワード・1
「背負うバッグ」

2011年に発生した東日本大震災後の防災ニーズにより、リュックサックがロングヒット。ファッショントレンドとしてだけでなく、生活スタイルの変化、自転車やバイクでの移動増加も影響し、スタンダードなアイテムに。「子育てママ世代のサポート」「通勤時の迷惑防止」など、課題解決型製品も生まれ、話題となりました。

同じく背負うタイプでは、「ランドセル」がファッションアイテムに。セレブの着用、SNSへの投稿が大反響となり、海外からの旅行客による購入頻度もアップ。「大人のランドセル」の開発ほか、バリエーションが広がり続けています。

2012年第23回カバン・バッグ部門最優秀賞「Labyrinthos(迷宮)」張 紫晗さん

2012年第23回カバン・バッグ部門
最優秀賞「Labyrinthos(迷宮)」
張 紫晗さん

2013年第24回カバン・バッグ部門最優秀賞・松屋銀座賞「r BACK BAG」清水孝文さん

2013年第24回カバン・バッグ部門
最優秀賞・松屋銀座賞「r BACK BAG」
清水孝文さん

2010(テン)年代の受賞作品のキーワード・2
「世界観の共有」

「デザインフェスタ」をはじめとする大規模イベントに加え、「手創り市」などのマルシェイベント、街イベントなどが人気を集めた2000年代後半。その流れがオンラインへと波及し「スタイルストア」「クリーマ」「ミンネ」といった、ハンドメイドマーケットプレイスが登場し、つくり手とつかい手が近くなりました。

ブログ、SNSを介した「共感」による「つながり」が、クリエイターとファンの関係をコミュニティ化。その核となるのが、「つくり手の想い」。「世界観の共有」が重視される時代を反映しているようです。

2014年・第25回カバン・バッグ部門 最優秀賞・松屋銀座賞「-想い-」関 真理さん

2014年・第25回カバン・バッグ部門 最優秀賞・
松屋銀座賞「-想い-」関 真理さん

2017年・第28回松屋銀座賞「エッグリュック」宮本要子さん

2017年・第28回松屋銀座賞「エッグリュック」
宮本要子さん

2010(テン)年代の受賞作品のキーワード・3
「ユーティリティ」

2010年代のバッグトレンドのひとつ、クラッチバッグ。従来とは異なりカジュアルな着こなしに似合うユニセックスなデザインがヒット。トートバッグを抱えて持つスタイルから派生してクラッチバッグとして使える仕様も人気に。

そのほか、フォルムや使い方の変化する2WAY以上の使い方ができるアイテムも注目されました。スマートフォンの爆発的な普及に併せ、スマートフォンが使いやすいバッグが続々。キャッシュレス決済の浸透により、バッグと小物の組合せ、使い方提案も登場。若い感性が息づくフレッシュな作品が評価されました。

2015年・第26回 最優秀賞・松屋銀座賞「ポケッバッグ」魏 ムンナさん

2015年・第26回 最優秀賞・松屋銀座賞
「ポケッバッグ」魏 ムンナさん

2019年・第30回 最優秀賞「Tassel Bag」小竹 ひとみさん

2019年・第30回 最優秀賞「Tassel Bag」
小竹 ひとみさん

2019年・第30回 審査員賞「まるさんかくしかくのサコッシュ」今井 みゆきさん

2019年・第30回 審査員賞
「まるさんかくしかくのサコッシュ」今井 みゆきさん

2010(テン)年代の受賞作品のキーワード・4
「アートに接近する造形美」

ファッションでの個性の表現を好まないユーザーが見られるようになり、ストリートファッションのムーブメントを牽引してきた雑誌「フルーツ(FRUiTS)」が2017年休刊となりました。

一方、現代アートをめぐるマーケットの活況を背景に、アート的な存在感をファッション、バッグに求める傾向も。そんな空気感に呼応するように、トレンドに左右されない、時代を経ても変わらない価値を創造したいという想いを込め、つくり手たちが挑戦。彼らの情熱とクリエイティブがバッグの新たな価値創造へと導きます。

2017年・第28回「CONNECTION」阿部剛丸さん

2017年・第28回「CONNECTION」阿部剛丸さん

2018年・第29回「Marshmallow」ヴィクトリア・アルファロノクさん

2018年・第29回「Marshmallow」
ヴィクトリア・アルファロノクさん

ものづくりの街、東京都台東区

江戸時代からものづくりが盛んな東京都台東区。現在もファッションザッカ(靴、かばん、革小物、ベルト、帽子、アクセサリー等)のメーカーが集積。伝統と技術の継承、地域の活性化のため、台東区が次世代を担う事業者をサポートする産業支援施設、「台東デザイナーズビレッジ」「浅草ものづくり工房」を運営しています。2021年9月1日から両施設の新規入居者募集がスタート。お見逃しなく。

そんな両施設では数々のクリエイターを輩出。卒業後、区内にアトリエ&ショップをオープンしたことなどがきっかけとなり、蔵前周辺は「東京のブルックリン」と呼ばれる注目のエリアに。来街者が増加し、新たな活気が生まれました。

さらには、SNSを活用したPRに注力。新アカウント「たいとう産業ナビ」は開設後、多くのフォロワーを獲得。恒例プロジェクト「台東産業フェア」のポータルサイトも刷新しパワーアップ。メインイベントの告知、参加企業の紹介、ポップアップイベントの開催など、フィジカルイベントからオンライン展開まで幅広く行い、ユーザーの支持が寄せられています。

「台東ザッカデザイン画コンペティション」とは?

台東区の産業振興プロジェクト「台東ファッションザッカフェア」では、ファッションザッカに携わる業界・事業者と台東区が力を合わせ、優れたデザイン性、品質の製品を周知すべく、さまざまな取り組みを展開。そのひとつが「台東ザッカデザイン画コンペティション」です。

靴、鞄、バッグ、ベルト、帽子、資材の業界団体で構成される台東ファッションフェア実行委員会が主催。 東都製靴工業協同組合、一般社団法人東京鞄協会、協同組合東京ハンドバッグ協会、東京服装ベルト工業協同組合、協同組合東京帽子協会、協同組合資材連の6団体の共催で運営しています。

「カバン・バッグ」をはじめ、5部門に分けてデザイン画を募集。例年、日本全国及び海外から2,500〜3,000点の応募があるそう。著名なセレクトショップのバイヤー、ディレクターや、東京コレクション参加メゾンのデザイナーなど、ファッション業界の第一線で活躍しているゲスト審査員も話題となっています。

他のない特長としては、選出作品の製品化。「台東ファッションザッカフェア」参加企業の協力でデザイン画を製品に。受賞者は、生産現場、ファクトリーの見学、打ち合わせやサンプルチェックなどにより、ものづくりのプロセスを学ぶことができます。完成後、東京・銀座の百貨店、松屋銀座で展示販売。レザーファンや海外からの観光客に好評です。

2021年度では、レザーイノベーション部門を新設。特定の商品カテゴリーではなく「革を使った新しいアイディア」を募集。「主にレザー素材を使用していること」「他の部門には当てはまらないザッカデザインであること」「一般流通ができる商品デザインであること」を条件としています。応募期間は2021年9月1日~30日。

参考サイト

台東ファッションザッカフェア

https://www.taito-zakka-fair.jp/

台東ザッカデザイン画コンペティション

https://www.taito-zakka-fair.jp/compe/

台東デザイナーズビレッジ

http://designers-village.com/

浅草ものづくり工房

https://monokobo9.com/

台東区産業フェア

https://www.taito-sangyo-fair.jp/

たいとう産業ナビ

https://www.instagram.com/taito.sangyo.navi/