Bag

イベント

デザインコンテスト&コンペティションの受賞作で振り返る
バッグ・クロニクル
<革コン/革のデザインコンテスト in 東京レザーフェア>

デザインコンテスト&コンペティションの受賞作で振り返るバッグ・クロニクル<革コン/革のデザインコンテスト in 東京レザーフェア>

現在第一線で活躍するクリエイターを輩出し続けるデザインコンテスト、デザインコンペティション。時代を先取り、未来を切り拓く作品を選出し、新たなムーブメントを発信してきました。皮革業界で代表的な“登竜門”から、平成から令和にかけての時代、鞄・バッグの潮流を振り返ります。

ラストは、「革コン/革のデザインコンテスト in 東京レザーフェア」をフィーチャー。同コンテスト受賞作品のアーカイブから3つの傾向をご紹介します。

「革コン」受賞作品の傾向・1 「イノベーション&使い方提案」

スマートフォンの普及、キャッシュレス決済やデジタルデバイスなどの進化とともに生きた2010年代。その影響により、ファッションの役割が大きく変化。「モノからコト」へといわれ、コト体験を重視。手づくり体験ワークショップに支持が寄せられました。

ファッションではトレンドの役割が変わり、次のステージへ。シンプルなアイテムの付加価値として、新しい機能性、使い方提案へのニーズが高まりました。「モノへの愛着」を異なる切り口で表現。つくり手のセンスの見せどころとなっているようです。

2013年度アイディア部門 最優秀賞「ふろしきのかばん」中田 真梨子さん

2013年度アイディア部門
最優秀賞
「ふろしきのかばん」
中田 真梨子さん

2013年度デザイン制作部門 優秀賞「折りたたみしましまバッグ
森谷 敦子さん

2013年度デザイン制作部門
優秀賞
「折りたたみしましまバッグ」
森谷 敦子さん

2014年度アイディア部門 優秀賞「太ももフィット革かばん」川口 京介さん(京都美術工芸大学)

2014年度アイディア部門
優秀賞
「太ももフィット革かばん」
川口 京介さん
(京都美術工芸大学)

「革コン」受賞作品の傾向・2 「ハッピーな世界観・ポップなモチーフ」

2010年代、ファッションの大きな潮流、「ノームコア(究極の普通)」。同時期から「断捨離」ブームが席巻。書籍「フランス人は10着しか服を持たない」の大ヒットにより、シンプル至上主義的な傾向が長く続きました。

そんな時代のカウンターカルチャーとして注目されたのが、ハッピーな世界観とユニークなモチーフ。ジャパンレザーの若手職人や学生たちの「レザーが好き」「ファッションを楽しみたい」という想いの発露として個性的な作品づくりに情熱を傾けたのではないかと推察できます。「革コン」の受賞作品の特色ともいえる傾向です。

2014年度アイディア部門 最優秀賞「アコーディオンかばん」陳 肇さん(東京モード学園)

2014年度アイディア部門
最優秀賞
「アコーディオンかばん」
陳 肇さん(東京モード学園)

2015年度 ゲスト審査員賞「FACE!!」瀬沼 希恵さん

2015年度
ゲスト審査員賞
「FACE!!」
瀬沼 希恵さん

2016年度プロダクト部門 最優秀賞「バックジャック」小笠原 悠さん(奈良芸術短期大学)

2016年度プロダクト部門
最優秀賞
「バックジャック」
小笠原 悠さん
(奈良芸術短期大学)

「革コン」受賞作品の傾向・3 「社会へのメッセ―ジ」

毎年のように起こる自然災害、天候不順は地球温暖化の影響であることと考えられ、「エコロジー」「エシカル」「サステナブル」がキーワードとして浮上。持続可能な開発目標「SDGs」が浸透し、社会問題と身近にとらえ、その解決に向けて取り組む若い世代のビジネスパーソンが増加しています。

そんな課題解決をコンセプトとして選んだ作品も多く見受けられました。いまや「サステナブル」はファッションの大きなテーマ。防災、ウィズコロナ時代に寄り添う提案を含め、ユーザーへのメッセージは欠かせないものとなっています。

2014年度アイディア部門 最優秀賞「アコーディオンかばん」陳 肇さん(東京モード学園)

2017年度プロダクト部門
最優秀賞
「キメラ」
田辺 健人さん

2015年度 ゲスト審査員賞「FACE!!」瀬沼 希恵さん

2019年度
入賞
「リサイクル」
Jung Hye RYEONさん

2016年度プロダクト部門 最優秀賞「バックジャック」小笠原 悠さん(奈良芸術短期大学)

2020年度
入賞
「メディカルダレス」
岡田俊夫さん

「革コン/革のデザインコンテスト in 東京レザーフェア」とは?

日本全国の皮革関連企業で構成されている協同組合資材連が主催する「革コン/革のデザインコンテスト in 東京レザーフェア」。同じく協同組合資材連が主催する日本最大規模の皮革・布帛・機能性素材・パーツの展示会「東京レザーフェア」のプロジェクトとしてスタート。2021年度開催で、第11回を迎えました。

ファッション、インテリア、生活雑貨など、新しい価値を生み出す革製品のアイディアを募集。受賞作品は「東京レザーフェア」会場内特設コーナーで展示されることでもお馴染みです。

新型コロナウイルス感染防止対策のため、見本市は開催しにくい状況ですが、近い将来、フィジカルイベントでの作品披露が復活するときには、わたしたちがコロナを克服した象徴的なトピックとなり、皮革業界の活性化の旗印となるでしょう。

「革コン/革のデザインコンテスト in 東京レザーフェア」の特長

クリエイティブ部門の最優秀作品および優秀作品には、メーカーによる実物製作を実施。またプロダクト部門の最優秀賞に選ばれた受賞者を、世界最大の皮革見本市・イタリア「リネアペッレ見本市」に招待されることも好評です。

審査員も独自性があり、「東京コレクション」に現在も参加するファッションデザイナー 山縣良和さん、坂部三樹郎さん、ファッションディレクター 萩原輝美さんが審査員として参加。コンセプチュアルな作風、幅広い活動により、若い世代に広く知られています。

選考基準は「デザインの独創性、先進性」「新たな時代を予感させる先見性」などを設定。厳正な審査の結果、毎回レザーの新しい可能性を発信しています。

クリエイティブ部門では、高校生以下を対象とするユース・クリエーターズ賞を新設。幅広い世代を対象にし、日本の革づくりの魅力、価値に気づくきっかけとなり、夏休みの自由研究などとの連動が可能となれば、ジャパンレザーファンの底上げにつながりそうです。

参考サイト

「革コン/革のデザインコンテスト in 東京レザーフェア」

http://www.kawalove.com/

「革コン/革のデザインコンテスト in 東京レザーフェア」
10周年特別展示作品

https://kawalove.com/2020/10th-Anniversary-Special-Exhibition.html

「東京レザーフェア」

https://tlf.jp/