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日本らしい鞄・ランドセルの歴史と進化

日本らしい鞄・ランドセルの歴史と進化

海外セレブの愛用をきっかけに人気が拡大。大人向けの製品が開発されるなど、ますます盛り上がるランドセル。日本独自の改良より紡がれてきたプロセスや、代表的な企業の取り組みから歴史と進化を振り返ります。

ランドセルの歴史

一般社団法人 日本かばん協会に属し日本製ランドセルの啓蒙活動、 および日本文化であるランドセル産業の振興、発展を目的に活発な活動を行う団体「ランドセル工業会」がひも解く「ランドセル・ヒストリー」。

ランドセルことはじめ

ランドセルの歴史は、江戸時代にまでさかのぼります。幕末に輸入され、軍隊で活用されるようになった布製の背のうが、その始まりだとされているからです。

国によって様々な通学かばんがありますが、箱型で背負式の、いわゆる"ランドセル"は、日本独自のものです。その起源は、明治20年までさかのぼります。

明治時代のランドセル

箱型ランドセルの誕生ランドセルの発祥とされているのは、明治10年10月に開校した学習院です。当初から制服が採用されていたため、服装については統一されていた学習院ですが、通学形態については、馬車で通ったり、使用人に荷物を預けたりと様々でした。

しかし、その状況について学習院は、「学校では皆平等、家庭環境を教育の場に持ち込むのはいけない」との理念のもと、「学用品は自分の手でもってくる」べきだとし、8年後の明治18年、子どもたちは、馬車や人力車で通学することや使用人に荷物を預けることを禁止されました。

その際に採用されたのが、背中に添えて両手をあけることができ、持ち運びの利便性が良かった、軍隊用の背のうです。この背のうがオランダ語で"ランセル"と呼ばれていたことから、"ランドセル"という言葉が生まれました。

箱型ランドセルの誕生

リュックサックに近い形の背のうが、現在のようなしっかりとした箱型ランドセルに変わったのは、明治20年のことです。大正天皇の学習院ご入学祝いに、伊藤博文が箱型の通学かばんを献上しましたが、これが、ランドセルの始まりだとされています。

素材が黒革に決定したのは、3年後の明治23年。明治30年には、細やかな形状や寸法(縦一尺一寸、横一尺五分、マチ幅二寸五分)などが統一され、いわゆる"学習院型"が完成しました。以降、100年以上経過しても基本的なスタイルはまったく変わっていません。

この伝統を引き継いだランドセルこそが、"学習院型ランドセル"です。

現在のランドセル

「背負うことによって、子どもの負担が軽減できる」、「両手が自由に使える」などの長所から、ランドセルは、小学生用の通学かばんとして広く普及していきました。世界中を見渡しても、似たような背負式の通学かばんは、それほど多くありません。

現在では、海外でも人気のあるランドセル。ランドセルは、"日本独自の文化"だと言えるでしょう。

ランドセルは海を越えて

6年間使用したランドセルをアフガニスタンに贈る「ランドセルは海を越えて」キャンペーンをご存知でしょうか?

2004年から始まったこのキャンペーンでは、全国の皆さまからランドセルをお送りいただき、アフガニスタンの子ども達へランドセルを届けています。

2013年には、ポプラ社より、活動の様子を紹介した書籍も販売されました。

土屋鞄のランドセル 進化する定番
丁寧なものづくり・誠実なものがたり

教育を取り巻く環境に対応しアップデートしてきた 土屋鞄のものづくり。ランドセルの改良ポイントは変化する時代と真摯に向き合う職人の想いを反映しています。そんなものづくりを株式会社 土屋鞄製造所 事業推進本部 販促企画部 マーケティング・PR課 広報ご担当 高橋 夏生さんにお聞きしました。

時代に合わせて改良なさっている、アップデートのポイントはどんな部分でしょうか?

1965年創業のため、時代の変化に合わせて少しずつ仕様も変化しています。機能面では、学習指導要領の改定で、教科書はA5サイズからA4サイズに変更となり、ランドセル自体も大きくなり、A4フラットファイルが収納できる容量サイズに変化しています。

デザインは、丈夫かつシンプルで飽きの来ない品のあるデザインは大きく変化していません。2020年からは、より装飾を削ぎ落とし、ニーズに合わせて時間割入れをなくしたモデルが登場しました。

重さを軽減し背負い心地のよさを追求するため、人工皮革の割合を昔より増やしたり、肩ベルトの形を改良し、身体に沿う形にすることで重さを感じにくい設計に改良しています。

赤、黒が主流だった頃から比べると、色展開は約50色となり、2023年ご入学モデルのランドセルは全63種類を展開します。弊社では男の子は黒、女の子は赤、といった固定観念にとらわれず、「誰でもどの色でも個性に合わせて選んでほしい」という思いから、性別による区分でご案内をしていません。ジェンダーレスモデルは弊社では一番人気のシリーズとなっており、多様化が進んでいます。

黒いランドセル
さまざまな色のランドセル

アップデートのきっかけとなった原因・理由をお聞かせください。

小学校生活の変化に合わせて、ランドセルのスペックも変化してきています。教科書がA4サイズになったことで、ランドセルもA4フラットファイル対応サイズになりました。また小学生の荷物が増えていることで、大容量をかなえるマチサイズになり、背負ったときに軽く感じるような工夫や、ランドセル自体の軽量化も進んでいます。

ジェンダーレスの観点でいうと、かっこいい「赤」が欲しいけれど「女の子」の色という印象があって、諦めてしまったり、ダークカラーを選びたい女の子がおかしくないか?と不安になったり。そんなお客さまのお悩みにお応えできるよう、男の子が背負ってもかっこいい「赤」を開発するところから始まったジェンダーレスモデルの「RECO(レコ)」シリーズは、2022年入学モデルで一番人気となりました。

ランドセルと中身
ランドセルを背負った子供たち

自由にご自分らしさを楽しんでいただける時代、素敵ですね。アップデート後のお客さまの反応はいかがでしょうか?

「赤を背負っている男の子のカタログをみて、息子の赤いランドセルを選びました」といったジェンダー視点でのご意見や、「持ち手がついて使いやすくなった」など、仕様変更後、いろいろとご意見をいただいています。

意識の変化に寄り添うことで、お客さまがしっかりと受け止めてくださって、うれしいですね。今後については、どのようにお考えでしょうか?

ランドセルは子どもが6年間をともにする、初めての鞄です。だからこそよいものを長く大切に使ってほしいという創業者の思いから飽きの来ない、シンプルで丈夫なランドセルを作り続けています。時代の変化にあわせて使うひとを思い少しずつ改良を加えながら、子どもの記憶に残り続ける鞄をつくっていきます。

6年間無料修理保証やリメイクサービスなどのサポートもあるため、6年間やその先も愛着をもって使っていただくことを通して、ものを大切にする心を育みたいと考えています。

さまざまな革製品

サステナブルが注目される時代、次世代を担うお子さんが革製品を使うはじめての経験ですものね。日本製革鞄のよさを感じていただき、大人になってもジャパンレザー製品をお選びいただき、愛用してくださるとうれしいですね。

ランドセル厳選メーカー

ランドセル工業会会員企業から厳選した腕利きメーカーの一部をご紹介!

ナース鞄工

技術開発力を生かし、時代をリードする付加価値性の高いタブレット収納ポケット付きランドセルをリリース。「学習院型」デザインで業界初の文部大臣賞、「キッズアミ」でグッドデザイン賞受賞のほか、60以上の賞獲得した実力派メーカーです。

水野鞄店

明治23年の創業以来、問屋として、メーカーとして、実績を積み重ねている水野鞄店。長年の歴史のなかで培った鞄づくりの技術を生かし、上質なランドセルを国内の自社工場で一貫生産。高品質で適正価格の製品を販売しています。

村瀬鞄行

「より多くの笑顔を生み出したい」という変わらない想いをランドセルに込め、丈夫さ、背おいやすさを重視して改良し続ける代表的ランドセルメーカー。国内最大の革製品コンペ「ジャパンレザーアワード」部門賞を複数回受賞。技術や、新しいセンスも高評価。

参考サイト

ランドセル工業会

http://www.randoseru.gr.jp/

土屋鞄製造所

https://tsuchiya-randoseru.jp

ナース鞄工

https://www.naas.co.jp/

水野鞄店

https://mizuno-randoseru.com/

村瀬鞄行

https://secure.murasekabanko.co.jp/