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2020/11/02

「靴ミュージアム」レポート

「靴ミュージアム」レポート

9月19日・20日(11:00~20:00)の二日間、日本の靴産業150年記念イベント「靴ミュージアム」が東京・渋谷 渋谷スクランブルスクエア12Fで行われました。
渋谷スクランブルスクエアは、2019年に開業。JR、東京メトロ銀座線と直結しアクセス便利な大規模複合商業施設です。低層階には有名ファッションブランドがラインナップ。会場は吹き抜けで開放的なスペース。大きな窓が配され、日中はもちろん、日没後の夜景も抜群でした。

150年の歴史を振りかえる展示は、年表と各時代の雑誌やカタログから紐解く「革靴の歴史」コーナー。「革靴の流行」コーナーは革靴のクロニクル。時代の花、トレンドシューズが咲き競うかのように並びます。
広々とした会場を生かした空間演出も素敵。昭和・平成のファッションショー、ストリートスナップ、ファッションシューティングなどのビジュアルをモビールのような表現で。若い女性ユーザーがスマートフォンで撮影していました。

こちらは、東京オリンピック(1964年開催)公式シューズが登場。選手、関係者のジャケットとのコーディネート分で製作。白一色のプレーントゥは開会式などのセレモニー用。白×茶コンビレーション靴は移動時などに用いられたそうです。静謐かつ力強い佇まいに、高度成長期当時のアグレッシブな時代性が反映。昭和、そして令和へ。2回目の東京オリンピックに熱いエールを送ってくれているかのよう。

当サイト 靴産業150周年 特設ページの「Shoe Shoe Culture」ブックガイドでもご紹介している高田喜佐さんの作品はひと際存在感を放ちます。日本で初めての靴デザイナーとしてファッションやメディアの世界からも注目を集め、DCブランドブーム当時のシューズムーブメントをけん引。「KISSA」は時代を象徴するシューズブランドのひとつとして知られています。

「未来の靴職人」コーナーでは、これから靴職人となる学生や若手靴職人の作品を展示。文化服装学院(シューズデザイン科)、ヒコ・みづのジュエリーカレッジ(シューズコース)、東京都立職業能力開発センター台東分校(製くつ科)から選出された作品をお披露目。
日本最大規模を誇るレザープロダクトコンペティション「ジャパンレザーアワード」歴代の受賞作品(2018年度グランプリ・フットウェア部門 ベストデザイン賞 吉田 卓巳さん/2018年度フットウェア部門 フューチャーデザイン賞廣瀬 友和さん)も。
機能・構造の革新、新しい時代の洗練を纏うフレッシュなクリエイティブが次世代のシューズシーンを切り拓きます。

2020年の革靴コーナーでは150周年記念モデルや人気ブランドの最新シューズをご紹介。「HARUTA」「Numero Uno」「Otsuka」「REGAL」「Sellenatela」「マドラス」から厳選された注目アイテムがそろい、セレクトショップのような雰囲気に。
「ここでは買えないんですか?」とのご質問が多く、靴好き、革好きの高感度ユーザーの皆さまがお気に入りを見つけてくださったようです。

革靴づくり、革靴ケアのエキスパートによるデモンストレーションも好評。
靴職人による、製作実演は、一足の靴ができるまでの作業を公開。黙々と作業しながら、見事な手さばきで仕上げていくプロセスが来場者を惹きつけました。
お手入れの無料ワークショップ(予約制)では革靴を長く愛用できる方法をレクチャー。参加希望の声が途切れず、幅広い世代のレザーファンをくぎづけに。
夜はホテルのラウンジのような都会的な雰囲気と幻想的な眺望が交錯する、いままでにないレザーイベントの趣きを楽しんでいただけたようです。

「靴に携わる人にとって2020年は、日本初の靴工場ができて150年目となる節目の年。いくつもの記念行事やイベントが予定されていましたが、新型コロナ禍により軒並み中止や延期となっていました。
ようやく8月末に浅草文化観光センターと伊勢丹・靴博の一部で歴史イベントの開催・公開に続き、こうして同様の日本の靴150年・歴史展示を行うことができました。
時間も予算もまったくない状態での企画、商品および資料手配、浅草の会場運営でしたが、皆さんに助けられ無事終了いたしました。ご来場者も熱心で、また旧知の方も多く、心強く励まされる日々でした。
この秋以降も、日本の靴の歴史・文化を伝えるイベントなど懲りずに行っていきます。
令和のパラダイムシフトを克服するには、産業文化、企業哲学、商品科学の確立が不可欠であり、歴史から学ぶ機会を増やしていきたい」とキュレーションをご担当のクツミライパートナーズ、シューフィルC&Cネットワーク 代表 城 一生さん。

日本の靴産業150年、現在・過去・未来を見つめ直す素晴らしいアーカイブとアプローチで靴づくりにかかわるすべてのビジネスパーソン、日本の靴を愛するすべてのユーザーを明るく照らしてくれるようなイベントとなりました。今後の開催スケジュールにもご期待ください。