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「LEATHER WORLD 2020」レポート
11月3日「いいレザー(1103)の日」を記念し、「LEATHER WORLD(レザーワールド )2020」が10月24日・25日の二日間、例年と同じ東京・青山 スパイラルガーデン(スパイラル1F)で開催されました。
「レザーの季節=秋」を象徴するイベントとしてすっかりお馴染みに。コロナ禍の今年もレザーファン、リピーターのご要望にお応えして決行。新型コロナウイルス対策として、会場入り口での検温の実施、消毒液の設置。ご来場の際はマスクの着用を必須条件に。混雑による密を避け、一定数のご来場者さまがいらっしゃる場合、入場制限を設けるなど徹底した感染対策のなか、無事会期を終了しました。
皮革素材、日本製革製品の展示に加え、体験できるプログラムにより、日本の革と革のものづくりの魅力を多面的に紹介。ワークショップ(「REN」、「m.ripple」、「靴工房nabe」、「アライタカフミ」)、レザーの種類を当てるクイズ&プレゼントをはじめとした参加型の取り組みが盛りだくさん。
エコバッグホルダーにもなる革小物のDIY、マスクホルダーのプレゼントなど、新しい生活様式のニーズを反映したアイテムが登場。このほか、皮革と革製品の展示により、天然皮革の特長である、「色合い」「種類」「大きさ」「質感」をアピール。実際に皮革素材の風合い・色合いを体感していただき、写真撮影やSNS投稿を通して、多くの方々が楽しんでくださいました。
今回は、新たな試みとして、伝統的な白なめし技法で鞣し、伊豆・川奈の山野に自生する草木で染めてつくり上げた「草木染め革」をフィーチャー。5人の革製品クリエイター(曽田耕「K ō」、野島孝介「吉靴房」、千阪実木「靴づくり屋chisaka」、小池文枝「ヒノホ」、荒井貴文「アライタカフミ」)が参加し、「つながり・環境・エシカル」をテーマとしたオリジナリティ豊かな革製品を発表しました。
「自然環境を大切に、循環させる」(鹿の有害捕獲と利活用)、「自然を生かした、日本古来の技法」(白鞣し、草木染めをはじめとした手仕事)、「地域社会、福祉、人への応援」(障碍者施設での草木染め作業)、「日本独自のものづくりの促進」(若手・個人クリエイターたちの活動)、これらを有機的に結びつけ、社会問題解決型のものづくりへと昇華。
有害鳥獣捕獲については「鳥獣による生活環境、農林水産業、生態系にかかわる被害が生じている、あるいはその恐れがあり、原則として各種の防除対策によっても被害が防止できないと認められた時、その防止、軽減を図るために捕獲が行われる」と農林水産省「捕獲に関する基礎知識」に明記されています。
年々高まるアニマルウェルフェア、アニマルライツへの配慮も欠かせません。捕獲・駆除の際に「動物になるべく苦痛を与えない」との規範も示されており、多様化する考え方を踏まえ、人間と野生動物との共生を目指すことが重要。有害捕獲された鹿や猪の個体、その生命の証を無駄にすることなく有効に利活用することが解決策のひとつであるとの認知が浸透しつつあり、各地で革製品プロジェクトが推進されているようです。
「エシカル」(倫理的。一般的には、法的な縛りはないけれども、多くの人たちが正しいと思うことで、人間が本来持つ良心から発生した社会的な規範/一般社団法人エシカル協会より)、「SDGs」<Sustainable Development Goa(サスティナブル デベロップメント ゴールズ)>(国連が掲げる、持続可能な開発のための国際目標。17のグローバル目標と169のターゲットで構成)」に対する意識が高まる今、有害鳥獣捕獲から派生したものづくりに、ファッション、デザインの視点がプラスされることで、ジャパンレザーの可能性を切り拓きました。
展示コーナーもアップデート。兵庫県姫路市・たつの市・神戸市・豊岡市、埼玉県草加市、東京都墨田区、香川県東かがわ市など、革づくり・ものづくり産地を代表するファクトリーブランドの自信作、新プロジェクトの意欲作を多数お披露目。
ブランド名、コンセプトとともに、公式サイト等にリンクするQRコードを表示。来場者の皆さまの「くわしく知りたい」「ほしい」をスムーズに叶えるアプローチで提案。安全な非接触・非対面スタイルで、つくり手とつかい手をつなぐ、新しい「マッチング」のプレゼンテーションとして確かな一歩となりました。
なお、この秋始動した新サイト「JAPAN LEATHER JOURNAL」3Dによるレポートを公開中。こちらも併せてご覧ください。
https://japan-leather-journal.com/event/