VideoジャパンレザーVOICE

TIME&EFFORT ジャパンレザーVOICE」ダイアリー 第3回

放送後記

TIME&EFFORT ジャパンレザーVOICE
ダイアリー 3

今回も新しい試みにチャレンジ

新プロジェクト「ジャパンレザーVOICE」第三回、8月17日に無事放送いたしました。ご視聴くださった皆さま、ありがとうございます。

今回も新しい試みがありました。メインMC 川﨑智枝さんがリモート出演! トーク中若干タイムラグを感じた方もいらっしゃると思います。ですが、一般社団法人日本皮革産業連合会 公式YouTubeチャンネル「JLIAtv」での見逃し配信時には見やすくブラッシュアップいたしますので、お楽しみに。

有限会社清川商店 企画・営業担当 松村美咲氏

新進気鋭の女性バッグクリエイターの
想い

皮革業界の第一線でご活躍のキーパーソンにご登場いただき、いま注目の話題をお聞きするコーナー「キーパーソンインタビュー」三回目のゲストとして有限会社清川商店 企画・営業担当 松村美咲氏をお迎えしました。

松村さんは、日本国内最大規模のレザープロダクトコンペティション「ジャパンレザーアワード」で二年連続 部門賞を受賞するなど、ご活躍の、新進気鋭の女性バッグクリエイター。まずはお仕事や働き方についてお話いただきました。仕事と子育てと両立してがんばっておられます。コロナ禍でなかなかバランスが難しい・・・そんなリアルなトークは共感なさるワーキングママが多いのではないでしょうか。

老舗バッグメーカーという家業を継ぐことについても、「続けていく価値のあることであり、自社のものづくりに関連する職人さんの仕事、墨田区エリアのものづくりを残していきたい」と熱く語ってくださって、ポジティブな気持ちになりました。

さて、そんな想いが詰まった作品を松村氏自らアピール。テレビ番組「出没! アド街ック天国」で紹介され、お問合せが殺到した「AUDREY」のハンドバッグ。国内最大規模のレザープロダクトコンペティション「ジャパンレザーアワード」バッグ部門ベストプロダクト賞受賞作品としても話題に。

デザインポイントはステッチを使わずに出す立体感と、オリジナルの口金。ファクトリーのスタッフの皆さんと試行錯誤を重ねてつくり上げた様子、オリジナルの口金(がまぐちの金具部分)についてのお話にも驚きました。

産業の空洞化、などという状況をよく聞きますが、国内でつくることができるメーカーが減っていて、つくりたいと思ったときに技術・材料があるとは限らない。いまあるものを当たり前と思わず、使い・つくり続けることで残していきたい、という危機感が背景にあったそうです。しかも危険をともない作業があり、熟練の技術が不可欠。こうした状況のなか、優れたジャパンレザー製品が完成したというのも素晴らしい。

有限会社清川商店 企画・営業担当 松村美咲氏

自社アーカイブから、歴史を彩った製品をすみずみまで見つめ直しているそう。仕様やつくり、技術からデザインの発想につなげる。ものづくりのバトンをしっかりと受け取り、次世代へ残していく実践的な取り組みですね。職人技・職人魂がその時代に合ったスタイルで進化していく事例をお聞きできて、日本のバッグ文化の、希望の光を感じました。

世界情勢の変化により、自分の国のアイデンティティを重視する傾向も徐々に見受けられますが、松村氏がイタリア留学で気づいた、東洋と西洋のデザイン発想の違いについての考察は必見です。「日本人らしさ」というのは、わかりやすくデフォルメしなくても、デザイン傾向から伝わるんですね。

最後に松村氏の今後の目標をお聞きしました。それは、原皮から国産牛の国産皮革を使用すること。国内で完結するものづくりが改めて見直されるなか、よい原皮の調達が難しいそうです。世界的に高く評価され愛されている「和牛(黒毛和牛、褐毛和種)」の肉質は、脂肪交雑(サシ)が多く、脂肪の融点が低いことがおいしさにつながるとされていますが、一方「和牛」の皮は、やわらかすぎて製品化に適するものが少ないのだそう。

生育環境をみても、アニマルウェルフェア(動物愛護)の観点から飼育環境も見直されています。しかし、夏の高温傾向は牛のストレスや虫刺されなどにつながり、「革」という観点では、上質なものを選ぶのが難しいようです。

こうしたことから、革は食肉の副産物として適正に利活用されている現状が伝わりました。気候が涼しい北海道で、牧草などを中心に生育された乳用牛(ホルスタイン)が注目されているそうですので、今後のものづくりへの波及に期待したいですね。

皮革業界・バッグ業界の次世代を担うクリエイターから原皮から国産牛の国産皮革を使用するものづくりを目指しておられること聞き、とてもうれしく頼もしいです。

YouTubeでの公開動画はこちら

【前半】

【後半】