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ジャパンレザーVOICE:放送後記2P目

「ジャパンレザーアワード2023」受賞作品発表!

「ジャパンレザーアワード2023」
受賞作品発表!

今年で16年目を迎える国内最大の革製品コンテスト「ジャパンレザーアワード」公式サイトで10月26日(木)、受賞作品が発表されました。受賞作品は、今年度より新設された選定作品から特に優れた10作品が選出。さらにこの受賞作品からグランプリが決定し、11月03日(金)は「いいレザーの日」に「ジャパンレザーアワード」公式サイトで発表されました。

一般社団法人日本皮革産業連合会(JLIA)では、毎年、「ジャパンレザーアワード」を開催することにより、国産のなめし革等を使用した作品を全国から募集し、審査により優れた作品を選出することで、新たな“発想・表現”のできる人材の発掘と育成に取り組んでいます。

9月30日(土)に審査会を実施。2017年度より同アワード審査員長を務める長濱 雅彦(東京藝術大学美術学部教授)さんをはじめ、デザイン界、ファッション界の第一線で活躍する審査員により、厳正に審査されました。

番組内では、受賞作品10点をご紹介いたしました。

「ジャパンレザーアワード2023」グランプリ

「パンチングレザー 刺し子ライダース」
オベリスク 石橋 善彦さん

シンプルな身頃と、ハンドクラフトをふんだんに盛り込んだ袖によるメリハリのあるデザイン。細身でありながら、柔らかいヌバックレザーと腕を動かしやすいパターンにより、非常に着やすく、デザイン性の高い一着に仕上げています。

パンチング加工は革に通気性を持たせるための加工ですが、その規則正しい穴を利用することで、刺し子・スタッズワーク等のハンドクラフトを誰でも綺麗に仕上げることができますが、レザージャケットに転用しました。

袖のヒジ下・二の腕後ろのファスナーは、刺し子の糸が切れた際にファスナーから手を入れて刺し子を直すために配されました。初めから修理を前提とした作りになっていて、より長く愛着を持って着用できるように考えられているのもいいですよね。

石橋さん、グランプリ受賞おめでとうございます。じつは、次回の「キーパーソンインタビュー」でご依頼しております。どうぞお楽しみに。

パンチングレザー 刺し子ライダース
フットウェア部門
ベストプロダクト賞

「擬態」
西野靴店 西野 裕二さん

他にはないオリジナルのレザーを使用するため、姫路レザーの白ヌメ革を木目調に染色。脱ぎ履きのしやすいスリッポンで幅広い世代の方が履けるようにデザインしています。

ソールは本物の木に近づけるため、ヒドゥンチャネル製法で出し縫いの糸を隠し、コバは樹皮をイメージしてランダムにカット。存在感がありながらも、普段の着こなしにもマッチするような一足ですね。

擬態
バッグ部門
ベストプロダクト賞

「トートバッグ」
&6 平田 史明さん

マチの形が特徴的なバッグです。マチを捻って固定し、正面から見ても綺麗なシルエットになるようにデザイン。正面側に折られたマチのホックを外せば大容量で使うこともできます。

国産プルアップレザーの中でも特に艶が美しい革を使っています。マチの複雑な曲面に、プルアップレザー特有の透明感のある艶が綺麗に出ているところが作者も気に入っているポイント。光の加減や見る角度によっても色々な表情を見せてくれるバッグです。

トートバッグ
ウェア&グッズ部門
ベストプロダクト賞

「ジビエ鹿革半纏(見立文覚宗三郎滝行図)」
chelsea leather art work 
北崎 厚志さん

刺し子半纏などに見られる裏に絵付けを施した半纏を、革に染色で表現してみたいとの作者の思いから、広島のジビエの鹿革で製作。日常的に着ることを考え着丈は長過ぎず、袖口が邪魔にならない鉄砲袖の職人半纏をベースに刺し子半纏や革半纏に習い裏地は無しの一枚革で表は柿渋染め、裏は全て染料による手染めで製作。縫製は総手縫い。背中の紋は革賽九(革細工)の語呂合わせで、裏側は講談や落語にある名人の苦心談、「宗珉の滝」を題材に描いたそうです。

ジビエ革のワイルドなニュアンスがかつて、火消しが着用していた革半纏の勇壮なイメージとマッチ。伝統的なアイテム、技法ですが、農林業への被害軽減を目的に有害捕獲された個体を利活用した革を用いることでアップデート。サステナブルなものづくりに昇華されました。

ジビエ鹿革半纏(見立文覚宗三郎滝行図)
フットウェア部門
フューチャーデザイン賞

「cocoon」
Takivi Leatherscocoon 青木 健治さん

足全体を革の袋で包み込むように作られる古来のモカシンを現代風に再構築。アッパーを上部、下部のふたつに分け、それを革紐により編み上げることでアッパー全体を袋状に仕上げ、インディアンモカシン本来の柔らかさを表現。ブラックラピド製法を採用することにより、しなやかさを維持しつつ、安定感のある歩行が可能となっています。

ウェッジ部に軽量なコルクを使い、スニーカー並の軽さを追求。独特のフォルムは革靴に興味のなかった新たな層にもアプローチ。若い世代はもちろん、既存のケミカルシューズ、ウォーキングシューズでは物足りない、おしゃれなアクティブシニア層にも最適。

cocoon
フットウェア部門
フューチャーデザイン賞

「REshuse16[1998&2004 LEATHER x KNIT UPPER x vibram LB078 Canter ]」
紀井 長さん

25年前の革+ニット素材のシューズ+リペア用のソールにて制作。
(黒の革1998年製/ベージュの革2004年製)

ヴィーガンレザー、人工皮革、合成皮革はどれもウレタン塗装が施され、2〜3年で劣化してしまいます。地球温暖化で高温多湿化が進む日本では顕著です。劣化しにくく丈夫で、吸湿放湿性に優れ、その上加工性にまで優れている、天然皮革の魅力を表現しています。

「ジャパンレザーアワード」史上初のリメイク作品がついに部門賞を受賞。作者の紀井さんは、専門学校ヒコ・みづのジュエリーカレッジ シューズコースの講師を務めるかたわら、ライフワークとして、リメイクシューズを数多く手がけ、2023年8月には個展を開催し話題となりました。リメイクはもちろん、半世紀前につくられた革を使用し、レザーのサステナビリティを提示しているのもお見事です。

REshuse16[1998&2004 LEATHER x KNIT UPPER x vibram LB078 Canter ]
バッグ部門
フューチャーデザイン賞

「have roots」
OFFcoast 多田 智美さん

メイン素材のレザーに加え、昭和の古新聞を使用。2022年に作者が旅をした際、「このリュックを背負い、自分のルーツを辿る旅に出かけよう、その旅はまたルーツが生まれるだろう」との想いがあり、人間のルーツをリュックという、ひとつの形にしたのだそうです。

経年変化を楽しむことができるレザーと歴史を振り返ることができる古新聞との組合せが素敵ですね。

have roots
フリー部門
フューチャーデザイン賞

「Memory of PAM」
野沢 浩道さん

他界したPAM(パグ)をモチーフに作成したレザードール(オルゴール)。”うちの子”の個性の再現がドール作成の大きな目標とし、木工彫刻の経験がないつくり手が革でどこまで出来るのか可能性を探ったそうです。切って貼って削っての一連の工程が、木やフェルトよりレザーは容易。革は繰り返し削り出すことができ、フェルトほどの難しさもなかったそうです。

「ジャパンレザーアワード2022」グランプリ受賞に続き、今年度も部門賞受賞となった野沢さん。「キーパーソンインタビュー」にご登場いただいた際、次回は「うちの子ドール」を構想中と語っておられましたが、有言実行。革とは思えない仕上がりに驚きます。

Memory of PAM
学生部門 最優秀賞

「CORE」
上田安子服飾専門学校 宮代 結菜さん

人間・骨をモチーフに人とのつながりや、支えを表現。人とのつながりは握手や協力など「手」からだと考え、大胆にバッグの顔となる表面に「手」を配しています。ショルダー部分では「背骨」を表現。背骨は人体でいう身体の支えを果たしています。背骨がないと身体を支えられない、バッグのショルダーと似ていると思い、背骨をショルダーで表現。背骨にはファスナーが配されて、大きく開く仕様も楽しい。

心臓と思わしきパーツがチラっと見えたり、人体にこだわりつつ、ご自身のテイストでまとめていて素敵です。人体模型のような怖さがなく、骨がモチーフとは気づかない、ポップなニュアンスもいいですね。

CORE
アーティスティック
デザイン賞

「ミライツクルクツ」
ramkere 工藤 サトミさん

幼い頃の体験や経験は人の土台を作ります。子どもたちがデザインした靴を実際に制作することで成功体験や自己肯定感を高めることができると考えた工藤さん。子どもたちのデザイン画、自由な発想を基にいままでにない靴をつくるという新しい試み。子どもたちとのコラボレーションにより作品を制作した一足です。

武蔵村山の「ものづくりカフェWORK+WORK」、フリースクール「まなクロBASE」、工藤さんのご友人の協力でデザイン画を集めました。デザイン画のイメージを壊さないよう、安全性などを考慮しつつ作品を仕上げています。

工藤さんは、専門学校ヒコ・みづのジュエリーカレッジを2023年卒業。その卒業制作としてつくった作品をエントリーしてくださいました。当番組5月放送分の「靴学校の卒展特集」でもご紹介。見逃し配信動画もございますので、チェックしてみてください。

ミライツクルクツ

今年度は大阪で開催!
「ジャパンレザーアワード」
受賞作品の展示

「ジャパンレザーアワード2023」グランプリおよび受賞作品の展示イベントが大阪で開催されます。大阪・梅田 阪急うめだ本店8F 体験型店舗「b8ta(ベータ)Osaka ‒ Hankyu Umeda」にて2023年12月1日(金)から2024年1月4日(木)まで行われます。

会場では受賞特典の受賞者を取材したパンフレット設置・配布、同じくスペシャル動画の閲覧も可能です。アンケートにお答えいただいたかたにプレゼントもあるそうです。

おひざもとの大阪はもちろん、姫路・たつの、和歌山、豊岡、奈良・・・革づくり・製品づくりの産地も多いので、ビジネスパーソンの皆さまをはじめ、ジャパンレザーファンの皆さまにご来場いただきたいです。ぜひ、お出かけください!

YouTubeでの公開動画はこちら

「ジャパンレザーアワード2023」
公式ウェブサイト

https://award.jlia.or.jp/2023

次回は「キーパーソンインタビュー」!

次回は「キーパーソンインタビュー」!

「ジャパンレザーVOICE」では2023年度から「キーパーソンインタビュー」と「革製品紹介」は隔月で交互に展開しております。次回は「キーパーソンインタビュー」を放送予定。「ジャパンレザーアワード2023」グランプリ受賞、オベリスク プロダクトマネージャー 石橋 善彦さんにご依頼しております。どうぞお楽しみに。