Handmade recipe
手縫いでつくる
カードケース
「Handmade recipe」第三弾となる今回は、〈 .URUKUST 〉デザイナー 土平 恭栄さんに教わる、カードケースのつくり方をご紹介。本格的な手縫いを二本針でチャレンジします。
縫う部分が少なく、簡単なプロセスにアレンジしてくださいました。
前回同様、必要な道具が多く、つくる際に音が気になるプロセスがありますので、お近くのシェアアトリエやDIY工房などを利用して、効率よく仕上げてください。
ステッチ用の穴をあけます。
菱目打ちを革の端に合わせ、こするようにして線をつけ、ステッチ用のガイドラインをつけます。
次にステッチ用の穴をあけます。このとき、革の下にゴム板を敷いておきます。
まず、ベルトの部分に3つ穴が均等に入るように穴をあけます。
続けてガイドラインに沿って穴をあけます。このとき、1目重ねて穴をあけます。一番上の穴は1目落とします。
縫う準備をします。
ろう引きしている糸を使用します。糸の長さは、縫う長さの3倍にプラス30cmが目安です。これを左右分、2本用意します。
糸を針穴に通す(二本針)
①糸に針を刺し、針穴に通します。
糸に針を刺します。
糸の端から針の長さくらいのところに針を刺します。(刺した箇所から、短い方の糸をA、長い方の糸をBとします。)
さらに2回刺します。
糸Bに向かって5mmほどの間隔で、さらに2回刺します。
針穴に通します。
糸Aを針穴に通します。
②糸を引き抜きます。
糸を引き寄せます。
糸Aを引っ張りながら、3回刺した箇所を、針穴の方に寄せます。
糸Bを引きます。
糸Bを針の頭の方向へ引きます。
糸を引き抜きます。
針の頭から糸Bを引き抜きます。
この方法であれば、縫っている時に糸が針から抜けず、効率よく手縫い作業ができます。
通常の通し方に比べると少し手間はかかりますが、一度覚えてしまうと簡単にできるようになりますので、ぜひお試しください。
パーツを縫いあわせます。
端から2番目の穴に針を通し、糸の長さを均一にします。一番端の穴に両側から針を通し、糸を引きます。
ひとつ前の穴に戻り針を通し、糸を引きます。これを端まで繰り返します。
端まで縫ったら、①ひとつ前に戻り、②もう一度端に戻ります。これで1目3重に縫い返しができました。
糸の縫い端をはさみで切ります。
縫い端に木工用ボンドをつけます。ボンドは、ゴマ粒大の大きさを目打ちの先端にとり、縫い端につけます。
もう片側も同様に縫います。
仕上げにコバを磨きます。
プロセス2と同様にコバを磨きます。まず、やすりでコバを磨き、整えます。
トコノールを塗ります。プレススリッカーの溝の部分を使い、トコノールが乾くまえに磨きます。
ギフトに最適
シンプルなデザインなので、男性もお使いいただけます。クリスマス、バレンタインデー、卒業祝い、就職祝い・・・と冬から春にかけて、ギフトのシーズン。
大切なかたへ贈ったり、パートナーといっしょにつくって交換したりしても素敵ですね。
監修:土平 恭栄(つちひら・やすえ)
〈 .URUKUST (ウルクスト) 〉デザイナー。
13歳でレザークラフトを始める。桑沢デザイン研究所でデザインを学び、その後アパレルメーカーでデザイナーとして勤務。
2011年〈 .URUKUST 〉として独立。
機能性と簡潔さ、スタイルを兼備し、無駄なパーツを減らしたシンプルな構造で新しいデザインを発表。
インキュベーション施設 〈 台東デザイナーズビレッジ 〉入居中に国内最大級の日本製革製品のコンペティション「Japan Leather Award 2012」審査員特別賞を受賞。
革製品のDIYキットブームの先駆け的存在。現在、横浜市都筑区にアトリエを移転し、〈 FLANGEplywood 〉とともに株式会社上田制作室を設立、ショールームをオープン。ものづくりと平行し、ワークショップや技術指導など、つくる楽しさやその大切さを伝える活動も行う。
近年ではレザークラフトを提案する著書「手縫いで作る上質な革小物」(日本ヴォーグ社)が発売され、海外の展示会にも出展するなど、国内外で評価が高まっている。