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革の世界を知ろう 日本の革文化 世界の革産地

日本の革文化・世界の革産地

世界の革産地を巡る旅

人間の暮らしと密着している牛、馬、羊、豚が代表的だが、他にも革は無数の種類がある。ここでは世界中にある革とその国に伝わる技術の特徴を紹介しよう。

民族とともにある革

革の原材料となるのは、生き物の皮だ。哺乳類、爬虫類、両生類、魚類など「皮」がある生き物から「革」はできる。そのほとんどが、その地の文化や民族とともに発展してきた。地域ごとに、その気候に適した生き物から美しい革を加工する技術が発展してきている。
世界中で最初に革を使ったのは誰か? それは、旧人のネアンデルタール人であるといわれ、彼らの遺跡から狩猟のための尖頭器だけでなく、皮から肉を効率よくそぎ落とす石器も出土されている。ここから、肉を落とし、叩いて、揉んで、煙で燻すといった「なめし」の技法に発展していく。皮の加工はロシアやカナダ、ノルウェー、スウェーデンといった寒冷な地域から発展していったと考えられており、これらの地域では、なめし用の原始的な器具が見つかっている。
まずは、防寒具として、そして呪術や祭祀用、日用雑貨、近代以降は装飾品として発展してきた。環境や民族と密接に関わっている革は、近年では動物保護や環境保護への意識の高まりから、使用可能な技法など様々な制限が生まれ、そこからまたさらなる技術革新が進んでいる。

知りたい地域をクリックしてください South Amerca continent Oceania area Southeast Asia
1. 南米大陸
熱帯地域はワニ、寒冷地域はトカゲ

人が入り込めない場所もまだまだ多く、多種多様な生き物が生息している南米地域。高低差が激しい地勢で、アマゾンなど熱帯地域ではワニやヘビが、チリなどの比較的寒冷な地域はトカゲなどの産地で知られる。山羊やその亜種などの動物も家畜として飼育されており、それらから毛皮や革を取る文化も息づいている。

2. オセアニア地方
爬虫類などの産地で知られる

温暖で安定した気候のオセアニア地域は、世界中で珍重されているイリエワニやシャークスキン、オーストリッチといった高級皮革の原皮産地で知られている。大・中型の皮革だけでなく、小型の皮革であるヘビやトカゲもとれる。近代、軍用としても用いられてきたカンガルーなどの有袋類の産地でもあり、種類は豊富。

3. 東南アジア
マレーシアはワニの名産地

熱帯に属する東南アジアでは、ワニの養殖が大規模に行われている。皮を取る目的もあるが、食用としても扱われているワニは、この地域の文化と歴史に密接に関わっているといえよう。獰猛だが美しいウロコで知られるイリエワニ、独自のオリーブ色が特徴的なシャムワニなど多くの種類が数多く生息している。