Column
革製品の見方 - 革の表情「仕上げ」を知る
革の表情の豊かさは、仕上げが決めるといっても過言ではない。感触から見栄えまでバラエティ豊富な仕上げの一例を紹介する。
ヌメ革
タンニンなめしの革を無染色で仕上げたもので、薄茶色からベージュの色が特徴的。厚みがありなめらかな手触りは、革本来の風合いが活かされているとして人気がある。広義には染色してある素仕上げのものも含み、染色時には厚みをそろえて染色加工をする。
スエード
革の裏側である床面をサンドペーパーで毛羽立たせ、短く起毛させた仕上げ。毛足が短く、細かくて柔らかな手触りのものほど良質とされている。中でもシルキースエードは高級品として珍重される。ウエアや靴、ハンドバッグに手袋など用途は広い。
ベロア
革の裏側である床面をサンドペーパーで毛羽立たせ、短く起毛させた仕上げ。毛足が短く、細かくて柔らかな手触りのものほど良質とされている。中でもシルキーベロアは高級品として珍重される。ウエアや靴、ハンドバッグに手袋など用途は広い。
ヌバック
脱毛後の革の表面(銀面)をサンドペーパーで軽くバフ掛けして起毛させた革のこと。裏面(床面)を起毛させるスエードやベロアよりも繊細で、その毛足はとてもきめ細かい。しっとりとした手触り感があり、婦人靴やハンドバッグに使われることが多い。
ガラス張り
クロムなめしをした革をガラスやホーロー板に貼付けて乾燥させ、銀面をサンドペーパーで削り樹脂を吹き付けて表面を円滑にしたもの。銀面が均一なので歩留まりがよく丈夫で手入れが容易なことから、紳士靴や鞄、ベルトなどに用いられることが多い。
エナメル
革の銀面へボイルアマニ油やワニスを塗装し、乾燥を繰り返すことで、光沢のある被膜を出したもの。現在はウレタン樹脂が使われることもある。パテントレザーとも言われる。素肌の魅力を打ち出す本染め革とは対照的なエレガントな仕上げで、水にも比較的強い。
型押し
革の銀面に高温高圧のプレスで凹凸を付けて、革に立体的な表情を与える仕上げ方法。主にエキゾチックレザーの模様が付けられることが多く、型押し技術が上がった近年では素人目には天然のものと見分けがつかないことも多い。鞄や靴、ウエアなどに幅広く使われている。
オイルレザー
ロウやオイルなどで撥水性や堅牢性が与えられた強化レザー。オイルレザーはそのうちの一つで、革に多量のオイルを加えることで、耐水性と柔軟性を持たせたもの。染み込ませたオイルによって独特の艶があり、また使い込むほどにオイルが染み出て独特の風合いを見せる。
もみ革
革の銀面を手や機械を使ってもみ、シボ(革に出るシワ)を付けた革。もむ方向によって名前が付いていて、1方向なら「水シボ革」、2方向なら「角シボ革」「角もみ革」、さまざまな方向からもんだものを「八方もみ革」と呼ぶ。オーストリッチの原皮には特徴的なシボがある。
シュリンク
なめし行程中に熱や薬品を用いて革の銀面を収縮(シュリンク)させ、シボを出したもの。革の縮み具合は皮革の種類や薬品によって異なるが、いずれも柔らかくなり、シボによって傷も目立ちにくくなる。もみ革よりシボ立ちは強調される。