Column
革製品の見方 - 手袋を知る
防寒用からファッションアイテム、スポーツ用品として広く使われる手袋。
それだけに素材や縫製まで多種多様な顔を持つ。
手袋にはさまざまな素材が使われる。だが、その中でも革手袋は特別だ。水分や汗を革の毛穴から放出するため蒸れにくく、摩擦や熱にも強く溶けない。また、伸縮性があるためよく手になじみ、経年とともに自分仕様の形に変化していく。このように革の特性が存分に発揮される革手袋だからこそ、支持も厚い。なお、革手袋を選ぶ際にはフィット感が大事なポイントだ。前述した伸縮性を考えると、最初は少しキツいくらいのサイズが丁度いい。
Point_1 パーツを知る
一双の手袋は、全14パーツからなる。ハギと呼ばれるマチ部分は、手袋を立体的にする役割。また、指の部分には薄く柔らかい腹の革をあて充分な伸びを確保する。親指部分は窮屈にならないよう、マチ部分が広めに取られている。
Point_2 素材を知る
MATERIAL:1 鹿革
キメ細かい繊維を持ち、通気性、吸湿性、保湿性、柔軟性に優れる。また、薄くて軽い点も手袋に向く
MATERIAL:2 牛革
皮革製品で最も活用される牛革は、手袋でもメジャーな素材。野球などのスポーツグローブにも使われる
MATERIAL:3 ピッグスキン
軽くて丈夫な豚革。スエードに仕上げたピッグスキンスエードは柔らかい毛が心地よく人気の素材だ
MATERIAL:4 ゴート
山羊革は緻密な繊維で高い強度を誇るため、バイクやスキー用など、負荷のかかるスポーツ手袋によく使われる
MATERIAL:5 ラムスキン
生後1年以内の子羊の革を指す。強度にはやや欠けるものの、毛穴によるキメが細かく柔らかい手触りは秀逸
MATERIAL:6 ヘアシープ
成羊の革。高級ソフトレザーの主力として手袋によく用いられる。薄い・柔らかい・丈夫と三拍子揃った素材だ
Point_3 縫製を知る
縫製がデザインの一部である、というのも革手袋の特徴だ。例えば厚手の生地には外縫いが適しており、いかにも堅牢そうな表情になる。逆にレディースのスマートな薄手の手袋には、縫い目が表に出てこないオール内縫いが多くなる。縫製は素材別に変わり、装着感に深く関わってくるため、職人の腕の見せ所だ