Column
デザインだけではない、婦人靴の選び方
足元をエレガントに見せるヒールは、一方でトラブルを引き起こしかねない諸刃の剣だ。
どんなに慎重になっても慎重すぎることはない。
紳士靴以上に神経質にならなければならないもの、それがヒールだ。ヒールが高ければ高いほどエレガントに見えるが、道具としての機能性は低下していく。
革の基礎知識コラム第12回で解説したあおり運動は、血液を循環させるポンプの役割がある。高すぎるヒールは踵をきちんと落とすことができないので、必然、その運動が未熟となる。足が冷えるなどの女性特有のトラブルは、履物が大きく起因しているのだ。
【カウンターの有無を調べる】
【ヒールの水平を確認】
【つま先を見る】
【ヒールの高さがキモ】
適度な高さのヒールは歩行をサポートする役割をもつ。その目安は3㎝。デイリーに使うのに問題なしとされるのは5㎝程度の中寸といわれている。もちろん高さだけではなく、安定感のためには太さも必要だ。7㎝を超えるようないわゆるハイヒールは、シーン、使用時間を限定して履くべきだろう。
【踵部のすわりを確認】
靴と足の健康
俗にヒール物といわれる婦人靴は、たとえ歩行をサポートする目安とされる3㎝のヒール寸でも紳士靴に比べればフォルムそのものが頼りなく、安定感に欠ける。トラブルとは切っても切れない縁なのだ。ここでは代表的な症例をいくつか紹介するが、進行すれば歩行に支障を来たすことにもなりかねない。履き分ける習慣はぜひ、身につけておこう。
外反母趾
最もポピュラーな母趾が内側に曲がる病気。先天的な要素もあるが、靴の因果関係を見逃すことはできない。発症率は男性の10倍といわれている。
ハンマートウ
縦に圧迫され続けることで、指先が縮こまった状態で固まってしまう病気。小さい、窮屈な履物だけが原因ではなく、大きすぎても引き起こされる。
陥入爪
合わない靴や深爪により、爪の角が肉に食い込む病気。傷口が化膿、さらに進行すると細菌が骨にまで到達し、骨組織が溶ける骨髄炎を引き起こすことも。
たこ
度重なる摩擦により皮膚が角質化すること。進行すると角質が真皮に向かって成長、魚の目を発症する。踏み付け部にできる胼胝はパンプス特有だ。