Column
プロに任せて安心キレイ!愛用品のリペア&カスタム
誰もがひとつは持っているであろうレザーの愛用品。愛着があるからこそ長く使いたいもの。日々のメインテナンスに加えて、思い切ったリペア&リフォームも長持ちの秘訣だ。
CASE_2履き古した靴のカラーチェンジがしたい!
お気に入りといえども、長い間履けば飽きることも。そんなときは大胆なカラーチェンジで気分一新!
![履き古した靴のカラーチェンジがしたい!](img/14_img1_01.jpg)
シックなレザー素材を、カジュアルなデザインに仕上げた一足。長年の活躍ゆえ、最近ではくたびれた雰囲気が否めない。今回はツートーンに仕上げ、ガラッと雰囲気を変えてリニューアルする計画だ
STEP 1 マスキング
![マスキング](img/14_img1_02.jpg)
今回は一部カラーチェンジをして二色に仕上げるため、色を塗らない部分にマスキングテープを貼って保護していく。金具部分に貼るテープは、写真左のようにひとつずつ丸く切り抜いて使用する。この工程は奥様の担当
STEP 2 色を決める
![色を決める](img/14_img1_03.jpg)
サンプルを見ながら仕上がりの色を決めていく。今回は元の色とのコントラストを出すため、チョコレートのような濃いブラウンをセレクト。手元に希望の色のものがある場合は、それを持参すると極力近づけてくれる
STEP 3 下塗りをする
![下塗りをする](img/14_img1_04_1.jpg)
![下塗りをする](img/14_img1_04_2.jpg)
本塗りに入る前に下塗りを施していく。これは、表面だけの本塗りだと、いずれキズがついた際などに中の薄い色が露出してしまうのを防ぐため。素材の奥まで染み込む染料を、筆を使って丁寧に塗りこんでいく
STEP 4 毛羽立ちをおさえる
![毛羽立ちをおさえる](img/14_img1_05.jpg)
下塗りが終了したら、アイロンを使って表面の毛羽立ちをおさえ、本塗りの塗料のノリを良くする。大きな傷がある場合は、ここでキズ隠しの処理を施すことも。美しい仕上がりのためには、入念な下準備が欠かせないのだ
STEP 5 調色をする
![調色をする](img/14_img1_06.jpg)
![染料・顔料](img/14_img2_01.jpg)
TOOL染料・顔料
今回は黒の顔料、茶の顔料、そして黒の染料にオレンジの染料を少々加えて調色した素材を染めるタイプの“染料”と、表面を覆うタイプの“顔料”を、そのときに応じて配分を考え、調合していく。長年の勘がものを言う工程。都度白い紙にのせて何度も色合いをチェックし、慎重に作業を進めていく
STEP 6 試し塗り
レザーの切れ端に調色した塗料を吹き付けて、実際の仕上がりをチェックする。左のようにもみこんでも表面が割れないか、手触りにざらつきがないかなどまで細かく確認し、必要があれば再度色の調整を行っていく
STEP 7 本塗り
![本塗り](img/14_img1_08.jpg)
![ペイントガン](img/14_img2_02.jpg)
TOOLペイントガン
上部の筒状の部分に調色した塗料を注ぎ込み、レバーを引くことで吹きつけて塗装を行う調合ができたらいよいよ本塗り。ガンを使って丁寧に塗料を吹き付けていく。いっきに濃く塗ってしまうとベタッとした仕上がりになるので、薄く何度も塗り重ねていくことがポイント。全体に均一になるよう気を配る
STEP 8 色合わせ
![色合わせ](img/14_img1_09.jpg)
片足ずつ塗装を行っていくので、重要なのはそれぞれの色が揃っているかどうか。本塗りの途中で随時両足を見比べることで、全体のバランスを見ていく。仕上がりの完成度を上げるためには重要な作業だ
STEP 9 乾燥
![乾燥](img/14_img1_10.jpg)
本塗りが完了したら、風通しのいい場所でしっかりと乾燥させる。揮発性の塗料を使っている場合は比較的短時間で乾くが、焦りは禁物。生まれ変わったその姿にお目にかかるまで、しばしの辛抱
STEP 10 マスキングを取る
![マスキングを取る](img/14_img1_11.jpg)
完全に塗料が乾ききったら、マスキングテープをゆっくりとはがしていく。靴の内側などにも丁寧にマスキングしたことで、美しいツートンカラーに仕上がっている。シューレースの金具部分も忘れずにはがす
STEP 11 仕上げ
![仕上げ](img/14_img1_12.jpg)
最後に仕上がりを確認し、金具部分の表面などについた細かい汚れがあれば、麺棒で丁寧に取り除いていく。この作業も奥様が得意ということで、マスキング工程と同じく仕上げの作業も担当
![](img/14_img_arrow01.gif)
![AFTER](img/14_img1_14.jpg)
経年変化で味わいの出たもともとの色合いは残しつつ、ダークブラウンで染めることできりっと引き締まった印象に。2色になったことで、よりスポーティな雰囲気にリニューアルされた