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長く付き合うためのコードバン・革小物のメインテナンス
財布、名刺入れは一番身近な革製品だ。常に肌身離さず携帯して、持ち主の汗を滲ませている。
そんな身体の一部のような革小物だからこそ、日々受けるダメージも大きい。
ここに紹介するのは、そんな小さな相棒と長く付き合うためのメインテナンス術だ。
今回使用したメインテナンス道具と革小物。クリームは左がロウ成分配合のものでコードバンのような硬い革に使う。右は乳化クリーム。カーフ革など柔らかいものに用いる
革小物のメインテナンスのあれこれ|革小物は生き返る
デリケートな革小物だからこそ、プロのメインテナンスを学びたい。ここでは、①日頃のお手入れ ②消しておきたいキズ ③きつい汚れに対する3つのポイントを、作業手順を追って説明しよう。
1日々のケアにカラ拭き
角質やホコリも積もれば大きな汚れになる。指紋を付けないよう手袋を着用し、すりキズを防ぐため小物は持ち上げながら優しく拭こう
仕切りの中から押し上げることで細かなスペースにも行き届く。布は天然素材の使い込まれた男性下着(白)が最適なのだそう
2インク汚れに消しゴム
ペンのインクが付いてしまった!繊維にインクが入り込んでいる状態だ
消しゴムを汚れに軽く押し当て、往復させる。傷防止のため下に布をしこう
すると、この通りインク汚れが消えた。消しゴムのカスが残らないように注意
3細かいキズに保革クリーム
財布にはよくつめ痕がついてしまう
クリームを少量布につけてから、丁寧に拭こう
色ツヤが引き出され、つめ痕が目立たなくなっている。最後にカラ拭きを
● カラ拭きから始まるメインテナンス
革製品のメインテナンスはカラ拭きに始まりカラ拭きに終わるといっても過言ではない。数日に一度はカラ拭きをする習慣を。
● 水に濡れたら陰干し
夕立ちで浸水、トイレに水没……革小物にはままあることだが、もちろん革に水は大敵だ。濡れたまま放置すれば、変色や革の硬直をもたらす。かといってあわてて日干しをすると、革は濡れて変化した形状で固まってしまう。正解は、カラ拭きしてからの日陰干し。
● 型崩れを防ぐ毎日の工夫
小物は常用されるものが多い。いつも変らぬ使い方だと、同じ個所に負担が重なり、型崩れにつながっていく。カードを普段と違う仕切りに収納したり、ポケットにいつもと上下逆に入れてみるなどのちょっとした工夫が、長く革小物を愛用するコツだ。
靴墨は服に付着する場合もあり、なによりキズを強引に塗り固めるので、革小物と長く付き合う上ではなるべく使用を避けたい。最終手段としよう。
▲ カラ拭きで表面の汚れを落とした後、キズの付いた方向の逆に塗りこんでいく
▲ 再びカラ拭きで仕上げるとこのようにキズは隠される
重量馬の臀部の皮からつくられる。空気も水も通さないほど繊維が緻密で、硬く美しい光沢をもつ。採取量が限られている高級素材だ