Column
皮から革へ
皮がどのように製品に使われ、その特長をどう活かしているかは案外見えやすい。しかし、その原点である“なめし”の現場では、いったいどのような工程が行われているのだろう?
2皮から革になるまでを追跡!
原皮の仕入れから始まるなめしの工程は、一般にはなかなか見る機会も少なく、知られていない。今でこそ、革への理解度をより持ってもらうために、工場見学などを企画している企業もあるが、その全容をここではタンニンなめしでご紹介しよう。お手持ちのジャパンメイドレザープロダクツ、そのスタート地点はここだ!
1. ほぼ国産である豚や一部の原皮を除き、ほとんどは輸入。その間、腐敗しないよう塩漬けの状態で保管されている。
2. 塩漬けされていた原皮をドラムに入れ、大量の水で塩分や汚れを落とす。同時に、原皮に充分な水分を与えるため丹念に。
3. 繊維をほぐし、毛を抜きやすくする「石灰漬け」「脱灰」や、「フレッシング」など前処理作業は多い。
4. 「背割り」。前処理の工程中で、成牛など大型の皮は作業をしやすくするために背骨に沿って分割する。
5. いよいよなめし。ドラムを使うなめしと写真のようなピットにつけて行う方法に分かれる。ここで皮から革へと変化する。
6. なめした後の革を洗い、必要に応じて脂分を加え乾燥させる。ここからは革の仕上げによって処理が細かく分かれていく。
7. 「革漉き」。大漉きとも。厚みを均等にしたり、注文に応じた厚さに漉いていく。専門業者がいるほど技術、機械は特殊。
8. 革をのばし、柔軟性を与え、乾燥へと移る。革の厚さや種類、また気温湿度によって、微調整を入れながら行う。
9. 「染色」。染料に漬け込んで染色する場合と、スプレーで顔料を吹き付けるやり方にわかれる。染料の場合は乾燥前に行う。
10. 「加工・仕上げ」。必要に応じ、型押しやアイロンによる艶出しなどが行われ、最後に計量、梱包し、出荷へと流れる。
革皮膚は、表皮、乳頭層、網状層、皮下組織で構成されている。革で必要なのは脱毛された乳頭層と網状層を合わせたコラーゲン繊維。この部分だけを取り出してなめしたものが革だ。ちなみに表皮があった部分を「銀面」、皮下組織があった部分を「床面」という。
タンニンなめしとクロムなめし